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もっと見る市販されている鎮痛剤を服用しても痛みが治まらず、寝込むほど強い月経痛を伴う症状を月経困難症と言います。
通常、月経には個人差があり多少の痛みや気怠さが現れますが、月経困難症は日常生活に支障をきたすほど重い症状を指します。
症状は腹部の痛みだけではなく、頭痛や倦怠感、吐き気、貧血などを伴い、ひどいケースでは失神や救急車で運ばれる症状が出ることもあり、決して軽視できる疾患ではありません。
症状の原因が子宮筋腫や子宮内膜症であることも少なくありませんので、我慢せずピルの服用や医師の診断で治療するようにしましょう。
国内ではおよそ800万人以上、月経困難症の女性がいると推定されています。 この数字は日本人女性の4人に1人に当たりますが、その中で医療機関の診断を受けて治療している人は、全体の10%程度しかいないといわれています。
さらに、月経の際の痛みは女性の3人に1人が悩まされているといわれています。 以上の症状は通常の月経でも現れるものですが、そのため普段の月経の延長にあることと考えられたり月経は病気ではないという思い込みから、悪化しても我慢してしまう人も少なくありません。
薬を使うことで耐性ができてしまったり副作用がでるという誤解をしている人もいますが、放置することで思わぬ疾患を招くこともあります。 鎮痛剤やピルの服用で月経困難症は改善することができます。
月経困難症には、特に原因が見られない機能性月経困難症と、特定の病気によって引き起こされる器質性月経困難症の2タイプがあります。
明確な因子が見つからない場合は、機能性月経困難症と診断されます。
月経が始まると体内でプロスタグランジンといわれる物質が分泌されます。 このプロスタグランジンは子宮の収縮を促して子宮内膜を剥がし、体外に経血として排出させる作用を持ちます。 このプロスタグランジンの分泌量が過剰であったり子宮頸管が非常に細い場合、子宮が過度に収縮して強い痛みを伴うことがあり、月経困難症の各症状を誘発します。
子宮や卵巣が未成熟であることも大きな要因になりますので、思春期から20代前半の女性に多く見られ、出産や年齢を重ねることで軽くなる人も多くみられます。
体の冷えやストレスからなることもあり、薬物療法を中心にした治療が有効です。
特定の疾患が原因の器質性月経困難症は、20代後半から発症する確率が高くなり加齢とともになるリスクが上がってきます。
器質性月経困難症の原因になる代表的な疾患は以下です。
上記以外でも、子宮や卵管、卵巣の感染症である骨盤腹膜炎にかかって症状が出ることがありますが、この疾患は月経に関係なく痛みがあらわれます。
他にも、癒着性骨盤腹膜炎や子宮奇形が月経痛の原因になることがあり、思わぬ病気が隠れていることもありますのでご注意ください。
子宮内膜症 | 子宮筋腫 | 子宮腺筋症 | |
発症しやすい年代 | 20〜40代 | 30代〜 | 40代〜 |
痛みの種類 | 月経痛、性行痛、腰痛 | 月経痛、下腹部痛、腰痛 | 強い月経痛、腰痛 |
その他の症状 | 不妊になりやすい | 経血量の増加、貧血 | 経血量の増加、貧血 |
特徴 | 卵巣のう胞、腹膜癒着を引き起こすリスクにつながる | 腫瘍の増大、貧血の悪化。閉経後に縮小する。 | 貧血の悪化。極めて強い月経痛。子宮の腫大。 |
出産後の女性が罹患することが多く、以前より月経痛が強くなったり経血量が増加して生活に支障が出た場合は、これらの病気を疑い医師の診断を受けましょう。
基本的な治療は、原因となっている疾患の治療をおこなっていくことですが、鎮痛剤や漢方薬などの対症療法によって経過観察をおこなうこともあります。
ここ最近で、子宮内膜症や子宮筋腫になる若い女性が増えています。 子宮内膜症は10人に1人、子宮筋腫は5人に1人といわれていますが、以下のリストで簡単なセルフチェックができます。
1つでも当てはまる項目がある場合は、医師に相談しましょう。
器質性月経困難症の原因は特定の疾患ですので、その場合の改善方法は該当する各疾患の治療になります。
ストレスや冷え、子宮の収縮に作用するプロスタグランジンの過剰分泌、内臓が未成熟などで引き起こされる機能性月経困難症の改善は、薬の服用や日常生活でできる方法が有効です。
機能性月経困難症はホルモンバランスが崩れることで起こることが多いため、エストロゲンという卵胞ホルモンとプロゲスチンという黄体ホルモンが配合された低用量ピルで排卵を抑え月経中の分泌物をコントロールすることで症状を軽減します。
ピルは継続して服用する手間がありますが、徐々に体に作用していくため負担が少なく体質を向上させる効果もあり、安全に月経困難症を改善させられる方法としてオススメです。
ホルモンバランスを整え排卵を止めるピルは、月経痛や頭痛やむくみなど各症状にも効果があるだけではなく月経前症候群も軽くできるので、少しでも辛く感じたら自分に合った薬を選びましょう。
長期的な体質改善を目的とした漢方薬と併用することも少なくありません。 その場合は、医師の判断をあおいで服用してください。
月経困難症に有効な痛み止めは、痛みの原因になるプロスタグランディンに作用する薬が有効です。
代表的なプロスタグランディン合成阻止剤はボルタレンで、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とも言われプロスタグランディンの分泌を抑える事で痛みそのものを抑制します。 ボルタレンそのものが即効性の高い薬ですが、鎮痛剤は早く服用するほど効果が高くなりますので、違和感を感じたらすぐ飲むようにしてください。
鎮痛剤もピルと同じように漢方薬と併せて飲むことができます。
低用量ピルを使用することができないケースでは、IUSという子宮内黄体ホルモン放出システムが治療に用いられます。
IUSは、膣内に黄体ホルモンを入れた器具を装着し子宮内に黄体ホルモンを放出させるシステムです。 黄体ホルモンの働きで子宮内膜の増殖に抑止し、痛みを招くプロスタグランジンの分泌と経血を減らす働きがあります。
器具を子宮内に入れる治療なので、子宮内膜症からの卵巣のう腫にかかっている場合は症状が悪化しないように定期的に検査をおこなわなければいけません。
長期的な服用で問題解決を促す漢方薬は、病気や症状そのものではなく体質や状態の改善を前提に処方されます。
機能性月経困難症はホルモン異常や内臓系の不具合が原因になり、ストレスや冷えも大きな要因になります。
そのため、血流を良くして新陳代謝を活発にすることで、痛みや貧血などの症状を緩和することができます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)などが使われることも多く保険適用されるため、ピルや鎮痛剤との併用でより強い改善効果が期待できます。
月経中は子宮周辺が鬱血して血行不良を起こしていますので、使い捨てカイロや腹巻きでお腹や腰を温かくしましょう。
また、お風呂でマッサージをしたり半身浴や足浴して額に汗が浮くまで温まることで、芯から体が温まり月経困難症の軽減につながります。
軽い運動も効果がありますので、ウォーキングや下半身中心のストレッチで軽くなることもあります。
生活習慣の乱れは、身体と精神両方に悪影響を与えます。
ホルモンバランスが崩れると月経困難症になるリスクも高まりますので、改善または予防のため少しずつでも日常生活を整えていきましょう。
栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠など規則正しい生活を心がけ、以下の食べ物や飲み物を積極的に摂ることで改善のサポートにできます。