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もっと見るうつ病は気分障害の一種で、脳神経系が正常に働かなくなることで酷く憂鬱になったり意欲が著しく低下したり食欲不振や不眠症などになる精神疾患です。
精神系の疾患に分類されていますが、近年の研究では心身にかかる重いストレスにより脳全体に不具合が生じて引き起こされることがわかりました。 複合的な原因で発症することが多く、精神と体両方に症状が出るため治療は簡単ではありません。
WHO(世界保健機構)の発表では、うつ病にかかっている人数は世界で約3億5千人にも上るとされています。 中でも、罹患数が人口に対して多い地域は中東アジア周辺や北アフリカなどです。
日本の罹患者数は世界的にはまだ低いですが、年々増える傾向が見られます。 一生に一度、女性は5人に1人、男性は10人に1人が発症する可能性があるとされ、誰でもかかる疾患と認識されつつあります。
うつ病にかかった際現れる症状は、精神的なものと身体的なものがあります。
精神的な症状は、抑鬱状態や気力・意欲・思考力の低下、喜び・興味の消失、強い罪悪感に苛まれる、集中力の喪失、自殺念慮などです。
身体的な症状は不眠や睡眠過多などの睡眠障害、疲労感、腰痛、肩や首のコリ、腹痛、食欲不振・増加、味覚障害などが挙げられます。 どちらか一方だけ現れる訳ではありませんが、初期症状はどれも些細なものなので気付けないこともしばしばです。
うつ病は発症したタイミングの特定も難しく、気が付いたらなっていたというパターンも少なくありません。 放置していても悪化することがほとんどなので、自分だけではなく周囲の人も気にかけて早期治療することが理想的です。
感情、思考、意欲面の状態異常が現れ、代表的な症状は気持ちが落ち込む、鬱ぎ込むなど悲しく気が重い状態が続く抑うつ症状です。
前兆は、仕事や趣味への興味が特に理由もなく失われたり、元気がなくなったり些細なことでもミスを繰り返すなどの変化で確認できます。
一つ一つは疲労が溜まると引き起こされるものですが、これらが複数引き起こされ継続するとうつ病と診断されます。 悪化すると自死に至る可能性も高いため、早いうちに治療する必要があります。
うつ病で引き起こされる身体症状には、強い倦怠感や疲労感、睡眠障害、食欲減退などがあります。
特に不眠症はうつ病と強い相関関係があり、眠れないことでうつ病の罹患率および進行度は非常に高まります。
精神的な症状と同様に何かをおこなうにも疲れが伴い億劫になるため、休んでいるのに気力と体力が回復しない場合は注意しましょう。
うつ病の発症要因は多く、きっかけは1つでもそれまでの要因が複合して引き起こされるケースがほとんどです。
精神的な原因には人間関係でのトラブルや親しい人との死別・離別、大切なものを無くしたといったものがあり、うつ病の発症原因として一番多い要因となります。 性格も大きく関わっていて、几帳面で凝り性、失敗を許せない完璧主義の方が罹患しやすいと言われています。
また遺伝的要因も無関係ではなく、親兄弟や親類にうつ病を発症している場合、うつ病にかかる確率も上がる傾向が確認されています。
さらに、糖尿病や血圧症など慢性疾患の長期的な治療にストレスを覚えることでうつ病も併発するリスクも高まるため、同時にメンタル面でのケアをすることが大切です。
うつ病の発症理由として最も多いとされています。
環境の変化はストレスを生じやすく、上記のようにライフスタイルを変えるほど大きな出来事は特に大きな不安や緊張をもたらしやすいもので、その変化に対応できずうつ病になることは珍しくありません。
ただしストレスに対する耐性は人それぞれ違い、同じ状況でもストレスを感じる人と感じない人がそれぞれ分かれます。 ストレスを感じていることに自覚のないことも多く、このことから特定が困難で悪化してはじめて気付くといったケースも報告されています。
うつ病になりやすい性格を、うつ病親和性性格またはメランコリー親和型性格と言います。
生真面目や几帳面、義務感・責任感が強い、凝り性、完璧主義といった性格の方はうつ病を発症しやすく、社会的な信頼を得やすい性格である反面、自分に厳しくなりがちで他人からの評価を気にしやすい面も見られ思いつめやすいためと考えられます。
さらに、これらの性格の人は根を詰めやすく脳エネルギーの消費も激しいため、脳のエネルギー不足と機能不全を起こすうつ病を誘発しやすいと言われています。
愚痴や弱音を誰かに言いにくく1人で全ておこなおうとすることも一因になっているとされていますので、肩に力を入れず息抜きをしてストレスを溜め込まないことが大切です。
うつ病の発症は、精神安定に働くセロトニンやノルアドレナリンといった神経伝達物質の異常が関連しているとされています。
そのため親や子、兄弟など2親等以内にうつ病発症者がいる場合、近い脳機能を持っているため身内に発症者がいない人に比べ2〜3倍うつ病にかかりやすい傾向にあります。
セロトニン分泌をコントロールするセロトニントランスポーター遺伝子には、SS型、SL型、LL型の3種類があり、SS型の遺伝子を持つ人は不安や恐怖を感じやすくうつ病にかかるリスクが高いと考えられます。
LL型は鷹揚でストレスを受け流しやすい性格になりやすくSL型はその中間と言われていて、日本人はSS型が多いためうつ病になりやすい遺伝子を持っています。
長期間患っている疾患がある場合、そのストレスがうつ病を発症させる要因になることもあります。
例えば糖尿病や脂質異常症の生活習慣病で長い期間、食事制限をおこなっている場合、そのストレスを解消できない状態だとうつ病を併発するリスクが高いと言われています。
がんなど命に関わる疾患は発症そのものがストレスになりますので、抗がん治療による負担と併せて身体・精神的ストレスが非常に高まりうつ病になることも少なくありません。
他にも高血圧や心疾患、骨粗鬆症、関節炎、気管支喘息、慢性閉塞肺疾患(COPD)など慢性化しやすい疾患もうつ病にかかるリスクを有しています。
うつ病の改善は、医師やカウンセラーの診察を繰り返しながら休養を取り、うつ病を発症した原因を確認していく治療を中心におこなわれます。
人とのコミュニケーションが難しいと感じる場合は対人関係療法をおこなうなどそれぞれに合った療法が取られますが、カウンセリングだけでは改善が難しいと判断された場合は抗うつ剤が処方されます。
代表的なうつ病治療薬の系統はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)・三環系抗うつ薬などで、いずれも脳内環境を正常に戻すために有効に働きます。
SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)は名称の通り、神経伝達物質セロトニンのみ取り込みを止めることで脳内のセロトニン濃度を高める薬剤です。
精神安定やリラックス効果、感情のコントロールに関わっているセロトニンは、脳の神経細胞ニューロンと他の神経細胞の接続部位シナプスに吸収されます。 通常は吸収されても新しいセロトニンが分泌されますが、うつ病はセロトニン濃度が極端に低下し脳機能に障害が出ることで発症し、放置しているとほとんど自然治癒はしません。
そのため、SSRIを投与することでセロトニン放出に働くシナプスのセロトニン受容体に作用し、セロトニンの放出を抑えることで減少を防いでうつ病を改善することが可能です。
病院やクリニックで処方される主なSSRIは、日本で最初に販売されたデプロメールやルボックス、パシキルなどパロキセチン、ジェイゾロフトなどセルトラリン、レクサプロなどエスシタロプラムがあります。
エスシタプラムの他のSSRIはジェネリック医薬品も販売されていますので、自身に合った抗うつ剤を選んで治療することができます。
SNRIはSerotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitors を略した言葉で、セロトニンだけではなくノルアドレナリンの取り込みを阻害する抗うつ剤です。
幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやノルアドレナリンは神経細胞ニューロンの接続箇所シナプスに吸収されますが、何らかの原因でこれらの神経伝達ホルモンが不足すると意欲の低下や抑鬱状態を招きうつ病の発症要因になります。
脳内にセロトニンやノルアドレナリンが放出され再度神経細胞内に取り込まれることを再取り込みといい、SNRIによりこの再取り込みをピンポイントで防ぎ脳内のセロトニン・ノルアドレナリン量を増加させます。
これにより、うつや不安症、不眠症などさまざまなうつ病症状に有効です。
代表的なSNRIはトレドミンなどミルナシプランやサインバルタなどデュロキセチン、イフェクサーSRなどベンラファキシンが処方されます。なお国内ではすでにミルナシプランのジェネリック薬が販売されていますが、デュロキセチンやベンラファキシンはまだ開発されていません。
SSRIとSNRIの効果の違いは、日本うつ病学会の公開しているうつ病に関する診療ガイドラインで違いがあまりないと書かれています。 どちらを治療に使うかは体質や体調に応じて変わります。
1950年代に開発された一番古い抗うつ剤で、神経細胞シナプス前部のセロトニン・ノルアドレナリンの再吸収を抑え、ノルアドレナリンとセロトニンを増やしてうつ病の各症状を解消します。
脳の興奮神経活性化により改善する作用がありますが、セロトニンやノルアドレナリンだけではなくシナプス後部にあるヒスタミンH1受容体やM受容体、α1受容体にも作用するため、口内が乾いたり便秘が起こりやすくなる抗コリン作用が原因の副作用が出やすい抗うつ剤です。
その後SSRIやSNRIが開発されましたが、有効性はあまり変わらないため現在でも多く利用されてきました。
後の抗うつ剤より副作用発現率が高いものの、緊急入院した重症患者に対して最も効果が認められているため、症状によって服用薬を選ぶことでより効率的にうつ病を改善できます。 また、副作用が軽減された第二世代が開発されたことで、第一世代のものより体に負担をかけず治療することができるようになりました。
第一世代の三環系抗うつ剤はアナフラニールなどクロミプラミン、トフラニールやイミドールなどイミプラミン、トリプタノールなどアミトリプチリンが挙げられます。 第二世代はアモキサンやアモキサピン、プロチアデンなどドスレピン、があり、どちらも医療現場で使われている信頼性の高い抗うつ剤です。