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もっと見るアジスロマイシンは、クラミジア感染症や呼吸器感染症の治療薬として使用される抗生物質です。
体内での半減期が長く、細菌が完全になくなるまで強力な抗菌作用を持続できます。従来の薬に比べて、1回の服用で症状が改善することが珍しくありません。
また、アジスロマイシンは薬物相互作用が少なく、併用による注意が必要な薬剤としては使いやすい成分です。
過去にアジスロマイシンを含む薬剤によって過敏症(アレルギー、発疹、蕁麻疹、全身のかゆみなど)を起こしたことがある場合は、使用できません。過敏症が軽度であっても、体調やタイミングによって重い症状が現れることがあるため、別の抗生物質を使用する必要があります。
リンパ管・リンパ節炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍など)、急性気管支炎、副鼻腔炎、深在性皮膚感染症、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、骨盤内炎症性疾患、尿道炎、子宮頸管炎、顎炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、HIV/AIDSに伴う非結核性抗酸菌症
アジスロマイシンに感性のブドウ球菌属、インフルエンザ菌、レンサ球菌属、淋菌、肺炎球菌、レジオネラ・ニューモフィラ、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、ペプトストレプトコッカス属、マイコプラズマ属、プレボテラ属、クラミジア属
アジスロマイシンは、クラミジア感染症をはじめとするさまざまな感染症に効果がある抗生物質(細菌感染症治療剤)です。他の抗生物質より長時間体内に留まり、患部の組織・細胞内濃度を10〜100倍に保つことができます。そのため、1日1回の服用を3日間続けるだけで、同系統の薬を7〜14日間服用する場合と同じ効果を得ることができます。また、胃酸による影響を受けず、成分がよく吸収されるため、タイミングによって効果が弱くなることもありません。
強い効果をもつアジスロマイシンは、1日数回の服用を1週間続ける必要がないため、飲み忘れしにくく使いやすい薬と言えます。さらに、アジスロマイシンは、従来のマクロライド系薬のデメリットであった相互作用の多さが改善された成分です。相互作用とは、ある薬と別の薬を併用することで薬の効果が減弱したり、副作用の発現リスクが上がる現象のことです。マクロライド系薬には相互作用が多いという問題があり、例えばエリスロマイシンは併用注意薬あるいは禁忌薬が30種類以上あります。これは、マクロライド系薬の作用として薬剤の代謝をするために働く酵素P450を阻害する働きがあるためです。しかし、アジスロマイシンはこの問題を解決した画期的な抗生物質といえます。
アジスロマイシンは、感染症を引き起こす細菌の繁殖を抑制する抗生物質です。 感染症が進行する原因は、細菌の繁殖によって感染部位が拡がることにありますが、アジスロマイシンは細菌の繁殖を防ぐことによって感染症の進行を抑えます。
アジスロマイシンの効果は、細胞内にあるリボソームの働きを阻害することによって実現されます。 アジスロマイシンは、感染部位に届いた後、細菌内部のリボソームに結合してタンパク質合成を阻害します。 この作用によって、感染箇所の細菌が繁殖を止め、それ以上拡大しないようになります。
リボソームは、タンパク質を合成するための重要な機能を持つ細胞内器官ですが、アジスロマイシンは人間のリボソームとは異なる細菌のリボソームに対して作用します。 したがって、アジスロマイシンは細菌の増殖を的確に抑制することができ、服用者のタンパク質合成を阻害することはありません。 細菌が死滅するまで時間がかかる場合もありますが、アジスロマイシンの効果によって体内から細菌が減少し、最終的には全て死滅します。
日本国内でのクラミジア感染症に対するアジスロマイシンの有効性が、108人の患者を対象に調査されました。この臨床試験では、尿道炎や子宮頸管炎などでクラミジアの陽性反応が認められた患者に対して、アジスロマイシン1,000mgを1回投与し、その経過を観察しました。
治験開始から29日目に再度検査が実施され、108人中98人(90.7%)の患者にクラミジア感染症の改善が確認されました。アジスロマイシンは、クラミジア感染症の治療において第一選択薬とされています。ジスロマックやアジーなどの薬剤と比べて、1回の投与で10日間ほど効果が持続することも特徴の一つです。
アジスロマイシンを服用した場合に報告されている主な副作用は、下痢、腹痛、吐き気などで、発現率は約3.28%です。消化器系に起こる副作用は、アジスロマイシンの作用によって一時的に腸内運動が活発化することで現れます。腸内の蠕動運動を活性化するモチリン様作用から生じますが、一過性の作用で時間経過とともに収まります。たまに、翌日以降も副作用が消失しないことがありますが、これはアジスロマイシンの持つ抗菌作用が腸内の善玉菌に対しても働いているためといわれています。本来は腸内菌にあまり影響しない抗生物質ですが、服用した時の体調や体質によって消化器系の副作用が長引くことがあります。
下痢や腹痛といった副作用は、市販の整腸剤であるビオフェルミンRやセレキノンと併用することができます。一過性の下痢の予防にはセレキノンを、症状が長時間続いた場合には対症療法としてビオフェルミンRが適切です。
ごく稀に、頭痛や眠気、めまい、湿疹、蕁麻疹などの副作用が発現することもあります。いずれも発症率は1%未満で低いため、心配する必要はありませんが、異常を感じた場合は直ちに医師の診断を受けるようにしましょう。蕁麻疹が出た場合は、アジスロマイシンに対してアレルギーを持っている可能性があります。
以下に該当する方は、アジスロマイシンの服用に注意が必要です。
アジスロマイシンを初めて服用する方や、アジスロマイシン自体に問題がなかった方であっても、類薬である他のマクロライド系やケトライド系薬に対して過敏症の病歴がある方は注意が必要です。 体調や体質の変化などで、アジスロマイシンにも過敏症が出る可能性があります。
肝機能障害がある場合、アジスロマイシンが肝臓に悪影響を及ぼすことがあります。 アジスロマイシンを利用する際は、かかりつけ医に相談し、服用量の減量や服用間隔の延長などの調整が必要になる場合があります。
また、アジスロマイシンの投与によってQT延長や心室性頻脈などの副作用を発症することがあります。 心疾患を持っている方は、医師と相談の上、注意して使用する必要があります。 特に、心臓リスクの高い方や心疾患の進行が懸念される方は、避けることを検討することも必要です。
以下の薬剤はアジスロマイシンとの併用に注意が必要です。
ジゴキシンは心不全など心臓が衰弱している時の治療薬で、アジスロマイシンとの併用でジゴキシン中毒の発症リスクが高まります。ワルファリンは、血栓の形成阻止による心筋梗塞症や肺塞栓症の改善に使われますが、アジスロマイシンとの併用でプロトロンビン時間が上がることがあります。
シクロスポリンとの併用は、シクロスポリンの最高血中濃度上昇と血中濃度半減期の延長が確認されています。シクロスポリンは臓器移植の際の拒絶反応の抑制と自己免疫疾患の治療に用いられますので、使用を誤るととても危険です。
制酸剤には水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどが挙げられます。これらは胃酸を中和する働きから消化性潰瘍、逆流性胃潰瘍などの症状に効果がありますが、アジスロマイシンの分解を早め最高血中濃度の低下を招くことがあります。
エイズ治療薬であるメシル酸ネルフィナビルとアジスロマイシン1200mgを同時に服用したケースでは、アジスロマイシンの平均最高血中濃度が上昇がみられました。血中濃度の推移を示す濃度・時間曲線下面積(AUC)の増加も確認されています。
また、アジスロマイシンと同じマクロライド系の薬剤は、カルバマゼピン、フェニトイン、テオフィリン、ミダゾラム、トリアゾラムなどが使われています。これらは同じ作用機序を持つため、血中濃度が過剰に上がり薬効が強くなりすぎてしまう可能性があります。