早漏症

早漏は、性行時の射精までの時間が極端に短くなる性機能障害のことです。
日本国内では成人男性の約1,300万人が早漏に悩んでいると言われ、割合は3.5人に1人となっています。
挿入後1分以内に射精してしまう状態は確実に早漏と判断されますが、1分以上保てた場合でも短いと感じ精神的負担になっている場合は早漏と診断されることもあります。
早漏は不安やプレッシャーなど精神的ストレスが原因になることも多く、さらにそれに悩むことで悪化し、パートナーとの関係にも悪影響になることも珍しくありません。
デリケートな悩みのため誰かに相談しにくい症状ですが、早漏を改善できる薬やクリームなどで改善することができます。
早漏の症状と判断基準
早漏の医学的な定義と判断基準は長年定まっていませんでしたが、2007年10月に国際性医学会議(ISSM)によって検討され、翌2008年に開かれた第103回米国泌尿器科学会(AUA)の年次総会で以下の定義が発表されました。
- 男性の性機能障害の一種で、性行為時毎回、もしくはほとんど、女性器への挿入後1分以内で射精してしまうこと
- 女性器への挿入前に射精してしまうこと
- 射精をコントロールできないことでストレスや悩みなど精神的重圧を感じていること
これらの判断に該当する場合は早漏症と思って間違いないでしょう。
なお、一般的な射精までの時間は5~7分と言われていますが、それより短い場合でもストレスに感じていなければ治療は必要ありませんし、それより長い時間挿入できていても大きなストレスを感じていれば改善の必要があります。
自分が望む時間よりも早く射精してしまうことは、男性としての自信も大きく揺らがせます。
性欲があるにもかかわらず早く終わってしまう経験が続けば、多大なストレスになり性行為自体が苦痛になっても仕方ありません。
実際に早漏は恋人や夫婦間の不和の原因になることも多く、性生活を営めないとして離婚の原因に正式に認められているほどです。
男性機能についての不安やプレッシャー、恐怖で引き起こされる症状は自分だけで解消することが難しくなりがちで、一人で抱え込む人も少なくありません。
ですが、風邪のように放っておけばあっという間に悪化して改善するのに時間がかかり、原因を見極めて早めに治療すれば早期解決できる症状です。
早漏の原因3タイプ
早漏は現在でも世界中の専門家により早漏の様々な原因が提唱されています。
主に精神的なストレスが原因の「心因性早漏」と陰茎や内分泌障害など身体が原因の「過敏性早漏」、そして加齢による「衰弱性早漏」の3タイプに分けられます。
早漏の原因は単一ではなく多くの要因が複数重なっていると考えられているため、原因を厳密に特定することは難しいとされていますが、思い当たる要因へ対応していくことが確実な改善に繋がります。
ストレスやトラウマで発症する心因性早漏
陰茎や神経系に問題がなくても、メンタルバランスが崩れることで早漏になるケースは多いと言われています。
特に過去に早く射精してしまい、そのことで自信をなくしたり相手に心ないことを言われたなど、性行でのストレスやトラウマ、コンプレックスは深刻な早漏になりがちです。
過剰な不安・プレッシャー・性的興奮が原因で射精を促す自律神経の働きがおかしくなり、陰茎に軽い刺激を受けただけで過剰反応し、射精までの時間をコントロールできなくなるのが過敏性早漏です。
この早漏は、性経験の少ない20代の男性に多くみられますが、30〜40代であっても上述の性行へのストレスやトラウマなどで交感神経が活発になり射精が適切におこなえなくなることもあります。
また、性行為に関するストレスに限らず仕事や家庭内での日常的なストレスが原因で早漏を引き起こすストレス性早漏も無視できません。
慢性的なストレスを受けつづけることで、心身をリラックスさせる働きに加え射精をコントロールする役割も持つセロトニンという脳内物質が不足し、過度な性的興奮を招き早漏になるケースもあります。
陰茎や神経系の不調で発症する過敏性早漏
通常、男性の体は性的刺激が脳に伝わることで正常な勃起・射精をおこないます。
ところが過敏性早漏の場合、陰茎の神経が過敏になり脳に性的刺激を伝える前に外部からの刺激だけで射精してしまう状態になります。
そのため、興奮状態やプレッシャーが特にない状態でも射精のコントロールができなくなると言われています。
このタイプの早漏は若い人や運動をする人に起こりやすく、心因性早漏や衰弱性早漏とは違い精神的・身体的問題がなくても発症することがあります。
性欲旺盛で悩みもなく心身ともに健康な人でもなる早漏ですので、ある日気付いたらなっていた、というケースも少なくありません。
包茎の人の場合、皮に覆われた亀頭が刺激に敏感になり過敏性早漏を引き起こす例も報告されています。
自慰行為をする際、早く終わらせることが習慣になると、射精も早くすることでそのまま包茎性早漏になるリスクもありますのでご注意ください。
加齢による身体機能低下で発症する衰弱性早漏
加齢は男性ホルモンを低下させ、筋力や神経系の衰えを招きます。
性機能も例外ではなく、射精に関わる筋肉「射精管閉鎖筋」が衰えると性的興奮が高まる前に射精しやすくなります。
この早漏は射精時の勢いも弱くなり、40〜50代の中年男性に多いと言われています。
また学者や研究者、エンジニアなど体を動かすことが少なく頭脳労働をする人もなりやすいのが衰弱性早漏です。
早漏を改善する方法
射精までの時間を延ばす早漏改善薬
代表的な早漏に有効な薬はプリリジーといい、治療だけではなく予防にも有効とされています。
プリリジーに配合されているダポキセチンは、射精に関わっている脳内物質セロトニンに作用して過剰な性的興奮をコントロールし、射精までの時間を約3〜4倍まで延ばす効果が認められています。
即効性に優れ性行前に飲むことで手軽に効果が得られ、現在では世界60ヶ国以上、数百万人以上の早漏患者の治療に利用されていることから、その信頼性は確実といえるでしょう。
プリリジー以外にも、バイアグラやレビトラ、シアリスなどED(勃起不全)治療薬と一緒に配合された治療薬があります。
これらの薬は挿入時間の延長にも有効といわれていて、服用して陰茎の硬度が上がり刺激が抑えられることが有効になっていると考えられています。
ED(勃起不全)を発症している人の3割は早漏に悩んでいて、早漏のストレスからED(勃起不全)になるケースもあるため、上記のプリリジーや同じダポキセチンの配合されたジェネリック医薬品と合わせて多くの人が使用しています。
早漏改善効果のあるコンドームやクリームの利用
すでに服用している薬がある場合や、アレルギーがあったり薬の服用に不安がある場合は、早漏防止効果を持つコンドームやクリームも早漏改善および予防に効果的です。
これらの早漏改善グッズには、性行前に塗ったり装着することによって陰茎に直接作用して感度を鈍くし過剰反応を抑える成分が使われています。
クリームやジェル、スプレー、コンドームなどバリエーション豊富ですので、ご自身のライフスタイルや使用するタイミングに合わせて選べる手軽さも良い点です。
プリリジーや各ED(勃起不全)治療薬と合わせて使用すれば、体の内側と外側両方から早漏を効果的に改善できるでしょう。
成功体験にも繋がりやすいため、トラウマやコンプレックスを緩和しストレスが原因の心因性早漏への効果も期待できます。
早漏改善のために自慰や性行の指導を受ける行動療法
経験不足や性行へのストレスが早漏の原因になっている場合、医師や専門家の指導のもと性行為の失敗をなくしていくことで改善していくのが行動療法です。
パートナーとの性行前に自慰をおこない射精の時間を延ばすやり方のほか、射精の直前にすぐ射精しない習慣を身につけるスクイーズ法やセマンズ法などが知られています。
スクイーズ法は射精するタイミング直前に亀頭を抑えて刺激を止める方法で、セマンズ法はパートナーに協力してもらい刺激に慣れさせる方法です。
いずれも寸止めすることで性的刺激に慣れていき射精をコントロールする訓練で、時間はかかりますがパートナーとおこなえば一層の改善効果が見込めます。
医師に相談して指導してもらうカウンセリング
心因性早漏は、専門知識を持った医師に相談し早漏改善薬やグッズ、行動療法の併用をしていく治療が有効です。
強いストレスや身体的要因によるセロトニン不足が原因の早漏でも、医師に相談し気持ちが楽になることもあります。
性的な恐怖や不安は、重くなればなるほど自分一人での解決が難しくなりますので、早めに診断を受けて適切な治療を進めることが重要です。
また、可能な場合パートナーに同席してもらうことで一人で思い悩むこともなくなり、不安や孤独感も解消できます。