バルデナフィル

バルデナフィルはレビトラの主成分で、強力なED(勃起不全)治療効果が得られます。バルデナフィルは、勃起促進薬であるシルデナフィル(バイアグラの成分)と同様の効果を持ち、服用から最短15分ほどで効果が現れるため、使用するタイミングを選びません。また、持続時間も5〜10時間と長く、食事の影響を受けにくいため、バイアグラの改良点が反映された成分です。
バルデナフィルは、PDE-5という酵素に作用して、cGMPの量を増やし、陰茎周辺の血管を弛緩させることで、勃起の硬度と持続時間を改善します。しかし、バルデナフィルには催淫効果はなく、性的興奮がなければ効果が現れないため、食事の前に服用することもできます。
バルデナフィルの禁忌事項と併用禁忌薬
バルデナフィルは強い効果を持つ成分です。 以下の方は、自己判断での服用は避けてください。
- バルデナフィルで過敏症を起こしたことがある方
- 過去半年以内に脳梗塞、脳出血、心筋梗塞の既往歴がある方
- 心血管系の持病があり、性行為を控えている方
- 重度の肝機能障害を患っている方
- 腎障害を治療中の方
- 低血圧症の方
- 未治療の高血圧症の方
- 不安定狭心症の患者の方
- 先天性のQT延長がある方
- 網膜色素変性症の方
バルデナフィルを過去に摂取した際にアレルギーや発疹、アナフィラキシーなどの症状が出た方は、再度の服用は避け、医師による検査と治療を受けましょう。
脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などを経験した方は、血圧が急激に上がる恐れがあるため、バルデナフィルの使用は禁忌です。 また、心臓や血管の疾患を持っている場合、性行為そのものが危険であり、バルデナフィルの服用によってリスクが増すため、禁忌とされています。
肝機能障害を持つ方や腎障害を治療中の方、低血圧症や未治療の高血圧症、不安定狭心症を患っている方は、バルデナフィルの服用によって悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
さらに、バルデナフィルにはQT延長の副作用が報告されています。先天性QT延長患者がバルデナフィルを服用すると、症状がより悪化することも考えられます。
網膜色素変性症に関しては、患者の一部に体内の酵素PDE-6に対して遺伝的な以上が確認されています。
バルデナフィルが作用するのはPDE-5ですが、些細な影響があることが分かっていても使用に際しての安全性が不明瞭なため服用は避けてください。
バルデナフィルの併用禁忌薬
- 硝酸剤や一酸化窒素供与剤
- sGC刺激剤
- CYP3A4阻害薬
- クラスIA抗不整脈薬
- クラスⅢ抗不整脈薬
硝酸剤や一酸化窒素供与剤、sGC刺激剤、CYP3A4阻害薬、クラスIA抗不整脈薬、クラスⅢ抗不整脈薬は、バルデナフィルとの併用が禁忌です。
硝酸剤や一酸化窒素供与剤は、心不全や狭心症に使われており、血管を弛緩させる作用があります。このため、バルデナフィルとの併用によって、硝酸薬の降圧作用が強化され、大幅な血圧低下を起こす危険性があります。
また、肺高血圧症の治療薬であるsGC刺激剤(リオシグアト)を服用中の方も、バルデナフィル製剤との同時使用はできません。
さらに、バルデナフィルはCYP3A4という酵素で代謝されますが、CYP3A4阻害薬によって正常に代謝されなくなり、バルデナフィル成分の血中濃度が上昇するリスクがあります。
クラスIA抗不整脈薬やクラスⅢ抗不整脈薬は、不整脈の治療薬ですが、QT延長が現れるリスクがあります。アミオダロン、キニジン、プロカインアミド、ソタロールなど、種類が多いため、注意が必要です。
バルデナフィルの効果
- ED(勃起不全)の改善
勃起を促し時間と硬度を持続させることが可能です
バルデナフィルは、陰茎への血液量を増やし、ED(勃起不全)の原因になるPDE-5という酵素を抑えることで、勃起を促し時間と硬度を持続させることが可能です。
体内で効果を発揮するため、器質性EDだけでなく、心因性EDにも大きな効果が認められています。
バルデナフィルは吸収が早く、服用から最短15分で効果が現れる即効性があります。また、バイアグラの成分シルデナフィルと比較して効き始めるまでの時間が短いため、性行為までのタイミングにプレッシャーを感じることがありません。
さらに、バルデナフィルは食事の影響を受けにくい性質があり、適度な範囲であれば服用前後に飲食しても効果は薄れません。ただし、高脂質や自身の限度量を超えたアルコールは避ける必要があります。
服用量によって薬効の持続時間は異なり、10mg錠の場合は5時間、20mg錠の場合は8時間ほど持続します。ただし、効果が持続している間でも、性的刺激や興奮がなければ勃起することはありません。バルデナフィルはあくまで血流改善の働きだけであり、刺激が消沈すれば陰茎も元に戻ります。
バルデナフィルの働き
バルデナフィルは勃起を促すために必要なcGMP(環状グアノシン一リン酸)の生産を促進することで、陰茎の海綿体を膨張させ硬度を持続させます。
通常、cGMPはPDE-5(ホスホジエステラーゼ5)という酵素によって分解されますが、ED(勃起不全)患者では過剰に分泌されるため、陰茎への血流が不十分になり勃起が困難になります。バルデナフィルはPDE-5の分泌を抑制し、陰茎周辺の血流を増加させる働きがあるため、ほとんどのED改善に大きな効果があります。
さらに、PDE-5の抑制や血管拡張効果だけではなく、cGMPの分解する速度も遅くなることで持続力を高め、中折れを防ぐことも可能です。
バルデナフィルのED改善効果は86.4%
バイアグラの3年半後に開発されたレビトラ(バルデナフィル)の治験では、5mg錠、10mg錠、20mg錠、効果を持たないプラセボ錠をそれぞれ服用する4グループを区別して行われました。
その中で、特にED(勃起不全)改善効果が見られたのは、10mg錠と20mg錠でした。改善率は、5mg錠が73.1%、10mg錠が85.3%、20mg錠が86.4%となっています。
なお、プラセボ錠の改善率は35.2%でしたが、これは心因性EDに対して多少の効果があったと考えられます。
プラセボ錠を飲んだグループに対して、5〜20mgのバルデナフィル錠を飲んだグループは、膣内挿入の成功頻度と膣内挿入後に勃起を持続できた頻度が格段に上がりました。服用前の膣内挿入に成功した頻度は3〜4回だったのが、服用後は安定して7〜8回に増えています。さらに、挿入後に勃起を持続できた頻度については、服用前の1〜2回に対して平均7回ほど増加しました。
専門機関での臨床試験によりED(勃起不全)改善効果が確認されたバルデナフィルは、2番目のED治療薬としてクリニックでも処方されています。ジェネリック医薬品も多く出ており、中には早漏防止効果を持つ成分ダポキセチンと併用された治療薬もあります。
バルデナフィルの副作用
バルデナフィルには、以下の副作用が報告されています。
- 頭痛
- ほてり
- 鼻づまり
- 動悸
これらの副作用は、バルデナフィルの血管拡張作用によって引き起こされます。軽度の症状であれば問題ありませんが、重度の症状や異常を感じた場合は直ちに医師の診断を受けてください。
頭痛は比較的頻繁に起こる副作用の一つです。こめかみ付近の神経が血管拡張による刺激を受けることが原因です。市販の頭痛薬を飲むこともできますが、2〜3時間程度で症状は消失します。
また、ほてりも非常に一般的な副作用の一つで、バルデナフィルには陰茎に対してだけではなく全身の血流を促す作用もあるため、一時的な体温上昇が引き起こされます。
重篤化する副作用はほぼないものの、性的興奮状態にないにも関わらず4〜6時間以上勃起が鎮まらない「持続勃起症(プリアピズム)」が少数ですが報告されています。その他、視覚異常が続く、もしくは悪化するといった目に関する副作用もごく稀に発症することがあります。
さらに、肝機能障害、呼吸困難、背部痛、関節痛、皮膚の異常(そう痒、発疹、発汗、紅斑)、不眠症、心筋虚血、狭心症、異常感覚、光線過敏症、霧視、結膜炎、眼痛、流涙、緑内障、心筋梗塞などの副作用も報告されていますが、非常に稀なケースであることが多いです。
副作用はバルデナフィルの効果発現と同時に引き起こされますが、異常を感じた場合は、直ちに医師の診断を受けてください。
バルデナフィルの注意事項
- 肝障害を患っている
- 出血性疾患か消化性潰瘍がある
- 白血病、鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫
- 陰茎の構造、機能に欠陥がある
- 65歳以上の高齢者
- 他のED治療薬を飲んでいる
肝臓は摂取した成分の代謝と分解、排出をおこなう臓器です。
そのため中程度の肝機能障害を患っている方がバルデナフィル錠を服用した場合、血中濃度が過剰になり正常な効果を得られないおそれがあります。
出血性疾患、あるいは消化性潰瘍にかかっているケースでは相乗効果により血液の機能低下を起こす可能性が指摘されています。
止血に支障をきたすリスクもあり、安全性が確認されていません。
白血病や鎌状赤血球性貧血、多発性骨髄腫などの疾患を持っている方は、刺激や興奮がない状態で4〜6時間以上勃起が収まらない、持続勃起症(プリアピズム)を招く危険があります。
ぺロニー病や陰茎が曲がっているなど構造上の欠陥がある方は、性行為自体に負担が大きく服用時の陰茎への影響も不明瞭です。
また、65才以上の男性に関しても性行為そのものが心血管系への負担になるだけではなく、身体機能の低下により薬の成分を分解しにくくなるリスクから自己判断での服用はオススメできません。
服用を希望される方は、医師に相談した上で5mgから慎重に飲むようにしましょう。
バルデナフィルとの併用に注意がいる薬剤
- CYP3A4阻害薬
- CYP3A4誘導薬
- ビカルタミド
- カルペリチド
- α遮断薬
CYP3A4阻害薬(アジスロマイシン、エリスロマイシンなど)は細菌感染症に使われるマクロライド系抗生物質などがあげられます。
併用によりバルデナフィルの血中濃度が3倍以上に増幅した例もあり、同時使用しないように注意しなければいけません。
また、肺結核治療薬であるCYP3A4誘導薬(リファンピシンなど)は代謝や排泄に関する酵素を増幅させる黄河があり、バルデナフィルの作用が減退する報告がされています。
前立腺がんの治療に使われるビカルタミドも、バルデナフィルの血中濃度が高まるリスクがあります。
バルデナフィルの血管拡張作用による降圧作用から、併用が危険な薬剤は次の通りです。
急性心不全の治療薬カルペリチドや、前立腺肥大症や高血圧症の治療に使われるα遮断薬(テラゾシン、タムスロシンなど)は、降圧作用を大きく強め急激な血圧低下を誘発します。