ダポキセチン

ダポキセチンは脳内伝達物質セロトニンの取り込みを阻害するSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の一種で、早漏改善の効果が認められています。
早漏症は、三大神経伝達物質の一つであるセロトニンの不足と同じ神経伝達物質ノルアドレナリンの過剰分泌により引き起こされると言われています。
セロトニンは「幸福ホルモン」と呼ばれていて、精神安定や爽快感、落ち着き、幸福感などをもたらし、興奮作用のあるノルアドレナリンの量をコントロールし精神バランスを安定させる働きがあります。
過度な性的興奮も適度に抑えられるため、何らかの理由でこのバランスが崩れ早漏症になっている方でも射精までの時間を延ばし調節することができます。
服用から約30分で発現して1時間ほどで効果がピークに達し、その後2〜3時間ほど早漏改善効果が持続します。
継続使用により早漏症の改善も可能で、臨床試験では24週間に渡り使用した際の改善率は全体で72%にも上りました。
ED(勃起不全)改善薬との併用でさらに効果を高められることも分かっていて、二つの成分が1粒に配合された薬で効率的に男性機能を回復できるでしょう。
ダポキセチンの禁忌事項と併用禁忌薬
脳内神経に作用するダポキセチンは、使用を間違えると命の危険に及ぶ可能性があります。そのため下記の項目に該当する方は服用を控えてください。
- ダポキセチンに対して過敏症を持っている
- 躁病、重度のうつ病を患ったことがある
- 起立性低血圧になったことがある
- 失神したことがある
- 重篤な心臓の疾患を患っている
- 中等度から重度の肝機能障害にかかっている
- てんかん持ち
- 未成年、65歳以上の高齢者
ダポキセチンを投与した際に過敏症を起こしたことがある場合、投与を繰り返すことでより重い過敏症になるリスクがあります。
起床した時や立ち上がる際にめまいや意識の遠のきを起こす起立性低血圧や失神で倒れたことのある方、日常生活に支障をきたす重度のうつ病、躁病を患ったことがある方、また現在も患っている方も使用できません。
また、心筋梗塞や狭心症、房室ブロック、重い弁膜症、洞機能不全、心不全などの重度の心臓病を患っている方もダポキセチン製剤は使わないでください。
心不全はクラスII以上の日常的に動悸や息苦しさを感じる方が対象となっています。
中等度から重度の肝機能障害の方がダポキセチンを使用すると、血中濃度が通常より高くなり排出が正常にされなくなる恐れがあります。
てんかんのある方は発作が治療で抑制されている状態でしたらダポキセチンを慎重投与されることがありますが、自己判断での服用は発作が促され危険です。
さらに65歳以上の高齢者に対してはダポキセチンの有効性と安全性が実証されていません。
未成年者も心身への悪影響が及ぶ可能性が高いため、使用はお控えください。
ダポキセチンの併用禁忌薬
- MAO阻害薬
- チオリダジン
- SSRI、三環系抗うつ薬、リチウム、トリプトファンなどセロトニンに作用する薬剤
- アタザナビル、テリトロマイシン、ケトコナゾールなど強力なCYP3A4阻害剤
神経伝達物質セロトニンに作用するダポキセチンは、うつ病やパーキンソン病、統合失調症など脳神経系疾患の治療薬との併用はできません。
MAO阻害剤やチオリダジンは服用を止めて2週間は、ダポキセチンの使用を控えてください。
ダポキセチン服用後にMAO阻害剤やチオリダジンを使う際も、7日以上の間隔を開ける必要があります。
他のセロトニン作用薬に関しても、数日空けてから使用します。
併用した場合、脳神経内部のバランスが崩れ激しい興奮やネガティブな感情が誘発され、せん妄や昏睡につながるリスクも考えられます。
また、ダポキセチンはチオリダジンの代謝阻害も認められていることからQTc延長を増加させ心室性不整脈の発症率を高めます。
さらに強い作用のあるCYP3A4阻害薬は、ダポキセチンの代謝と分解を抑え血中濃度を極めて高くすることがあるため絶対に併用しないでください。
ダポキセチンの効果
- 早漏症
- 過剰な性的興奮を抑えて射精に至る時間を延長して性的満足度を高めます。
早漏症改善に有効な成分で、不足したセロトニンを補うことで過度の興奮を抑え性行為を延長させ最後まで満足感を持続できます。
性交の興奮や緊張が強すぎると、陰茎は刺激に対して過敏になり射精のコントロールができなくなります。
挿入する前や挿入から1分以内に射精してしまい精神的なストレスや苦痛を感じる機能障害を早漏症と言い、悩む男性は少なくありません。
これは脳内神経のバランスが乱れ興奮を促すノルアドレナリンが過剰になることで起こりますが、世界で初めて開発され、また唯一の治療薬であるダポキセチンは性的感度を低下させることなく早漏を改善する効果があります。
ダポキセチン30mgの服用では初回服用時に2倍の延長ができ、継続した場合3倍ほど挿入から射精までの時間が延ばせたという報告がされました。
また60mgの投与では、初回に3倍、継続利用で4倍ほど延長することができたことから、極めて重度の早漏症にも有効であると証明されています。
なお、国内の統計ではED(勃起不全)を患う方の約30%が、早漏症も併発していると言われています。
そのためバイアグラやレビトラ、シアリスなど代表的なED治療薬とダポキセチン製薬の併用がオススメです。
セロトニン濃度を高めて過剰な性的興奮を抑えるダポキセチン
近年の研究で解明された早漏症の大きな要因として、脳内のセロトニン濃度低下が上げられます。
ダポキセチンはその不足したセロトニンを正常値に近づけることで射精を短くする興奮状態を抑えることで、早漏を改善する働きを持ちます。
もともとセロトニンはある神経細胞から分泌されることで充填され、神経細胞のニューロン間に再取り込みされ一部分解されることで薄まります。
分泌がされなくなり再取り込みだけが多くなるとセロトニンの総量が減りさまざまな不調や疾患を誘発しますが、ダポキセチンのセロトニン再取り込み阻害により脳内のセロトニン量を減らすことなく精神を安定させ、射精を早める興奮・緊張を抑えることが可能です。
臨床試験ではダポキセチンに72.4%の早漏改善率が認められました
国内外でおこなわれた臨床試験において、ダポキセチンは高い有効性が実証されています。
対象となったのは医師から早漏症と診断された6,081人の男性で、ダポキセチン30mg錠と60mgをそれぞれ投与するグループに分けて実施されました。
試験開始前の挿入から射精までの平均的な時間は、約0.9〜1分でしたが、30mg錠、60mg錠共に時間の延長が確認されました。
60mgを服用したグループの場合、1回目の使用時は2.5分ほど延長し性行為の度の投与を24週間ほど続けると3.9分まで延長されたという報告がされています。
30mgの方も明確に時間が延長され、初回は2.1分まで延び12週間の継続使用で3.3分まで延ばせたとされています。
また臨床試験では、射精までの時間延長だけではなく早漏症そのものの改善も確認されています。
継続服用により、60mg錠の投与では全体の72.4%早漏症が解消され30mg錠に関しては57.6%の早漏症が改善されました。
早漏症は発症するとストレスが大きく男性としての自信を損なうだけではなく、パートナーとの不仲の原因にもなりかねません。
心因性EDの要因にもなり、発症もしくは症状の悪化につながることもありますので、射精がうまくできないと気付いた時点で薬を服用して早期治療を始めることが大切です。
ダポキセチンの副作用
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 鼻づまり
- 口の渇き
- 下痢
- 疲労
- 傾眠
- 不眠症
- 起立性低血圧(立ちくらみ)
ダポキセチンを服用して生じる主な副作用は、頭痛やめまいなどです。
吐き気や嘔吐、下痢などが起こることもありますが、いずれも軽度で一過性の症状とされています。
これらの副作用は、ダポキセチンの作用でセロトニン濃度が高まることで血管拡張や副交感神経の活性化による消化管の働きの変化が生じるため現れます。
特に拡がった血管が頭に通う神経を圧迫すると頭痛が起こりやすくなりますが、悪化することはほぼありません。
また吐き気や嘔吐、下痢などの症状は胃腸が活発化するため起こりやすくなっていますが、ほとんどが1〜6時間の間に軽減、消失します。
頻度は低いですが、血管拡張が血圧低下につながり、めまいや立ちくらみなど起立性低血圧症を引き起こすケースも報告されています。
そのため、ダポキセチンを服用してから成分が抜ける5〜6時間は自動車の運転および危険な作業などは避けてください。
ダポキセチンの注意事項
- 出血性疾患を発症したことがある
- 腎機能障害を患っている
- 心血管疾患を患っている、その素因がある
- 眼圧が高い
出血性疾患を起こしたことがある、または現在患っている方はダポキセチンにより疾患が誘発されるリスクが高いとされています。
ダポキセチンと同等の作用を持つSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の副作用には出血性障害も報告されているため、併用しないでください。
ダポキセチンは腎臓と肝臓で分解されるため、軽度から中度の腎機能障害をお持ちの方は通常の代謝がされない可能性があります。
重度の腎機能障害の方はさらに成分が体内に残りやすくなる危険性が高いため、ダポキセチンの使用は極力避けてください。
高血圧症や糖尿病、高脂血症などを治療中かそれらの素因がある場合は、動脈硬化などを誘発しやすくなります。
失神など重い副作用がでる可能性もありますので、服用は慎重におこないましょう。
また、非常に稀ですがダポキセチンの使用で瞳孔が過剰に拡大する散瞳や目の痛みなどが生じることもあります。
眼圧が高い方や上昇が見られる方に多いとされているため、注意が必要です。
ダポキセチンとの併用に注意がいる薬剤
- α-アドレナリン受容体拮抗
- 硝酸剤
- CYP3A4阻害剤(エリスロマイシン、クラリスロマイシン、フルコナゾール、アンプレナビル、ジルチアゼムなど)
- CYP2D6阻害剤
α-アドレナリン受容体拮抗や硝酸剤などの薬剤は血管拡張作用があり、高血圧や狭心症の治療に使われています。
同じ血管拡張作用のあるダポキセチンとの併用で、起立性低血圧の発症リスクが上がるため慎重に使用してください。
中程度のCYP3A4阻害剤は、ダポキセチンの血中濃度を過剰に増やす恐れがあります。
そのため、併用する場合はダポキセチンの服用量を調節しなければいけません。
また強い作用のあるCYP2D6阻害剤は、ダポキセチンの分解を遅らせ血中濃度の低下を抑える相互作用が報告されています。
最高血中濃度が50%上がることもあり、重篤な副作用の原因になりますので併用は避けてください。